衛星受信に必要な機器の役割や機能

各機器がどのような働きをするのか、それぞれの機能が何をするのか等を理解して頂くためのページです。

受信機(IRD)

衛星からのCやKuバンドの信号はアンテナのLNBで950〜2150MHzの信号に変換され受信機に届けられます。
この信号をテレビ受像機やテレビモニターに供給する映像、音声信号に変換するのが衛星テレビ受信機の役目です。これについては一般的なBS等と同じです。

アナログとデジタル

デジタルBSでは映像と音声の両方がデジタルで送信されているのに対し、従来のBSでは映像はアナログ、音声はデジタルのハイブリッドです。このハイブリッド方式は世界に類を見ません。海外の衛星からのTVではデジタルなら映像と音声のいずれもデジタル、アナログならいずれもアナログです。 海外衛星のTV伝送ではアナログからデジタルへの移行が最近急速に行われており、アナログの信号は少なくなりました。受信しようとする番組の方式に合わせてアナログ受信機かデジタル受信機かを選択してください。尚、一部にデジタルとアナログの両方に対応する受信機もあります。

LNB電源とアンテナ切替制御

アンテナに取り付けるLNBの電源は、アンテナ用ケーブルを通じて受信機から供給されます。また、供給電源の電圧によりLNBの受信偏波を切り替える方式が広く利用されています。ただし国際基準の電圧が15Vより高いか低いかで受信偏波を切り替えるのに対し、日本では13Vを境に変化させるのが一般的です。受信機が対応している供給電圧に合ったLNBを選択してください。以前はLNBへの供給電圧により、偏波切替だけでなく、アンテナ周りの各種制御に用いる機器もありました。現在は、偏波の切替はLNB電圧、LNB対応周波数の切替は22KHzトーン(トーンの有無)、アンテナ切替やアンテナ回転装置の制御はDiSEqC、と用途に応じた仕様が確立しています。

業務用と民生用

受信機は、業務用と民生用に大別できます。業務用受信機では出力される映像・音声信号の特性が保障されていますが、一般の方々にとってはそれほど違いが気にならないというのが実情でしょう。また、業務用受信機にはC/Nやエラーレートといった、信号品質に関する詳細な表示、信号レベル低下等を警告するアラーム機能があります。また、民生用の受信機はリモコンなしで制御できないのが大半ですが、ほとんどの業務用機器は受信機前面から受信機の制御が可能です。価格面では10倍程度の差がありますし、多チャンネル登録・管理の使い勝手などでは民生用にも分があるため、それぞれにメリットがあるといえるでしょう。
ところで、衛星デジタルTVの殆どは4:2:0という映像方式で送られているのに対し、衛星TV中継の回線では4:2:2の利用が増えている一方、4:2:2に対応した民生用受信機は未だありません。信号を受信できているのにも関わらず映像や音声が出てこないため「もしやスクランブル(暗号化)放送?」と思われたその信号は、実は4:2:2かも知れません。

自動追尾機能

インクラインド衛星を安定して受信するには自動追尾装置が必要です。自動追尾機能を内蔵した受信機もありますが、外部の制御器を利用する場合には受信機にAGC(受信信号のレベル)出力端子が必要です。

アンテナ

衛星受信システムで象徴的かつ重要な機器、アンテナについてのお話です。ここでは衛星用として一般的なパラボラ・アンテナについてのみ述べています。パラボラ・アンテナは、電波用凹レンズである反射板と、反射板で集められた電波を焦点で取り込むフィードホーン部から成り立ちます。業務用アンテナではフィードホーンもアンテナの一部として含まれるのが一般ですが、民生用ではフィードホーンはアンテナと別に購入する必要があります。フィードホーンに取り付けられるLNB(周波数変換器)は通常はアンテナには含まれません。

オフセットと真円型

BS等でよく見かける楕円形のアンテナがオフセット・アンテナで、焦点がアンテナの中心にありません。そのため、同じ仰角の衛星に向けても真円型に比べアンテナの傾斜角度が小さくなり、降雪時の積雪による影響が小さくなります。理論的には真円型の上半分に楕円形を描きそれ以外の部分を取り除いただけですから、反射部の大きさが真円型と同じなら、オフセットの焦点の方が遠くなったように見えます。その距離の違いにより、フィードホーンから見た反射板の大きさが違って見えますので、反射板からの電波を捕らえるフィードホーンで捕捉角度が異なることから、フィードホーンにはオフセット用と真円用で明らかな違いが見られます。

取付マスト

アンテナ反射部下部に取付けられたリング等を床面に置く方法等のアンテナもありますが、床面から垂直に立つパイプ・マストに取付ける方法が一般的です。マスト取付型アンテナのマウント部はマスト上部から被せるように取付けるものが大半です。アンテナの仕様書には最適マスト径が示されていますので、正しい外径を持つパイプを準備する必要があります。

DiSEqC利用のH-Hマウント

直径1m前後の小型アンテナでは大型アンテナに比べアンテナのビーム角度が広くなりますから、回転装置を付けてアンテナの多衛星化を図ることが比較的容易です。しかもDiSEqCで回転装置の制御を行えるので、制御用ケーブルを追加する必要もありません。お手元の受信機がDiSEqC1.2対応でアンテナ径が120cm以下なら、回転装置と短いパッチケーブルの追加だけで複数衛星対応システムに生まれ変わります。尚、DiSEqCには1.0系、1.1系、1.2系と3つのバージョンがありますが、回転装置の制御に対応するのは1.2系(1.2および2.2)だけです。

AZ/ELとポーラー・マウント

アンテナをマストに取り付ける部分の構造はアンテナの使用目的により大きく異なります。単一の衛星を対象とするアンテナなら一度方位と仰角を設定すると変化させる必要がありませんので、取付時の方向合わせが容易で、その後は強風時も安定していることが求められます。それに対し、複数の衛星に対応するにはアンテナを上下、左右に動かさなければなりません。
静止衛星は赤道上空36,000kmに描いた線上に並んでいますから、アンテナの中心をその線に向いた状態で回転させることができれば、わずか1軸の回転で事足ります。これを可能にする回転軸は地球の自転軸と平行になることから、ポーラー・マウント(Polar mount)と呼ばれています。業務用には他のマウント方法もありますが、民生用はこの2種のマウント(取付部)に大別できます。

LNB (周波数変換器)

アンテナの焦点に設置されたフィードホーンから取り入れられた衛星からの信号は、フィードホーンに直結されたLNBに入ります。LNBは低雑音高周波アンプと周波数変換回路から成り立ちます。

NFとLNBの性能

衛星からの信号のS/N比(信号と雑音の比率)はアンテナの利得(信号を集めるアンテナの性能)とLNBの性能が大きく影響しますから、LNBの性能について神経質になる人がいますが、LNBの性能が大きく左右したのは昔のこと。現在は高いレベルでの比較で、LNBの雑音レベルに多少の違いがあっても実際の受信ではその差が見えないくらいになっています。

電源と偏波切替

LNBの電源はアンテナ・ケーブルを通して受信機から供給されます。特にKuバンドではLNBFが主流で、その殆どが垂直と水平の両偏波対応型となっています。この偏波の切替はLNBに供給される電圧の違いで行われますが、世界の多くの地域では13Vと18Vというように15Vを境とした電圧で偏波が切り替わるのに対し、日本では13Vを境として切り替わります。
また、受信機から22kHzのトーン信号をアンテナケーブル内を通じてLNBに供給されるかどうかでLNBの対応周波数帯を切り替える広域LNB
(ユニバーサル)も海外では標準となっており、その生産数の多さから多機能なのに低価格という現象が起こっています。

フィードホーン

アンテナの反射面の焦点に位置し、信号を取り込むという重要な働きをします。また、アンテナ反射面以外からの信号をできるだけ受信しないように、焦点から見た反射面の大きさ(角度)がアンテナのF/D比によって大きく異なりますから、使用するアンテナのF/D比に合ったフィードホーンを選ばなければなりません。
一般にはオフセットアンテナのF/D比には大きな違いはなく、使用アンテナがオフセットなら単にオフセット用のフィードホーンを選択すればよいですが、真円のアンテナではF/D比がアンテナによって異なるため、アンテナのF/D比に適合したフィードホーンを選択するか、アンテナのF/D比に合わせて調整可能なフィードホーンを使用します。
2偏波に対応するLNBを使用する場合は、両偏波に対応するフィードホーンを選びます。また、両偏波を切り替えてではなく同時に受信するには、2偏波に対応するよう2個のLNBが設置可能となったデュアルLNB用フィードホーンが必要です。
円偏波に対応するにはフィードホーン内部に誘電体プレートを取り付ける必要があります。左右の回転に合わせて正しく設定をしてください。

周辺機器
アンテナ回転装置

複数衛星に対応するにはアンテナを可動式する必要があり、その方法はアンテナ径によって異なります。120cmまでの小型アンテナならDiSEqC利用の回転装置を、大型衛星では(6mを越えるアンテナを除く)アンテナの方位や仰角を変更するための駆動装置としてモーターによって伸縮するアクチュエータを利用します。アクチュエータは伸縮する長さにより「xxインチ」と区別されます。同じ長さの伸縮をするものでも駆動力、風などの外圧に対する強度別に多くの種類があります。

回転制御器

複数衛星対応アンテナを、受信しようとする衛星の方向へ正しく向けるには高い精度が要求されます。それらの煩雑な作業をワンタッチで行えるようにするのが回転制御器です。アンテナ取付時に正しい方向をプログラムしておけば、必要に応じて正しい衛星方向へアンテナを回転させることができます。また、受信機の中には回転制御器を内蔵したもあります。
複数アンテナに対応する装置については多衛星に対応のページを参照してください。

L-バンド増幅器

LNB・受信機間で使用される950〜2150MHzの周波数帯をLバンドと呼びます。ケーブル長や分配等の理由でLNBからの信号レベルが受信機にとって十分でない際に、中間に簡単なインライン・アンプを配置するだけで十分な対策となります。もし、壁掛け型の大型増幅器等を使用する際は、特に電圧による偏波切替等に影響を及ぼさないような配慮が必要です。適切なケーブルを使用していれば、ケーブル長が100mを超えるような場合も増幅器は必要ありません。なお、Lバンド増幅器の使用は、アンテナケーブルや分配器といった「LNB以降」の減衰にのみ有効であり、衛星からの信号が微弱であるという問題は改善できません。この場合はアンテナ径を大きくするしかありません。

カラー方式変換器

PALやSECAMといったカラー方式の映像信号をNTSCの機器で視聴、録画するためにはカラー変換器を使用しなければなりません。以前はアナログ方式のカラー変換器もありましたが、現在はデジタル方式が主流です。

マルチ方式
TV/VTR

カラー変換器なしで、いずれのカラー方式にも自動切換で対応するマルチ方式のテレビやビデオテープレコーダがあります。一般の販売店では入手が困難ですが、殆どの家電メーカが製造しています。必要な場合はお問い合せください。

V/UHF変調器

複数の場所で同じ番組を見るなら、受信機からの映像をVHFやUHFの空きチャンネルを使って伝送されてはいかがでしょう。VHF、UHFのいずれのチャンネルにも一台で対応するテレビ変調器もお手頃な価格で購入できます。これを用いての共同聴取システムのチャンネル増設も容易です。

ケーブル

衛星受信システムにはアンテナと受信機間に使用する同軸ケーブル(75Ω)と受信機とテレビやVTR間の映像・音声ケーブルが最低限必要です。屋外のアンテナから室内の受信機へとケーブルを配線するには壁穴が必要となりますが、エアコン用の穴を利用するのが容易です。窓を利用するとケーブルの太さから窓を閉められなくなります。こんなときには「隙間ケーブル」が便利。フラットで柔らかなケーブルですのでサッシ窓でも開閉が可能になります。

アンテナ切替器

複数の衛星を受信するには回転装置付属のアンテナを一台用意するより、アンテナを複数化するほうが費用も少なくて済み、動作も安定します。この場合一台の受信機ですべてのアンテナからの信号を受信するには「アンテナ切替器」が便利です。現在販売されている殆どの受信機がDiSEqC(アンテナ切替器を制御する規格)に対応しており、同じくDiSEqC対応の切替器と組み合わせることで受信機からの切替を容易に行うことができます。

分配器・混合器

ひとつのアンテナからの信号を複数の受信機へ供給するには分配器を利用します。受信機からLNB電圧が供給されますので、分配器を選ぶ際は電圧供給が分配器内部でどう処理されているかを確認しなければなりません。正しいものを利用しないと、電源供給に利用している受信機が断となると、他の受信機でも見えなくなります。また、電圧で偏波を切り替える場合も、電源を供給している受信機で選択された偏波しか他の受信機でも見えなくなります。この問題を解決するための部品が多く用意されていますので、実際にご利用になるシステムと希望の利用方法等をお聞かせください。システムのご提案をさせて頂きます。